大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ツ)22号 判決

いわゆる清算的譲渡担保の場合、債務者は何時まで債務の弁済をして、担保物件を取り戻すことができるか、について考えるに、所論は担保物件の所有権移転登記を完了するまでは弁済により、担保物件を取戻しうる、と主張するが、そのように解するときは、譲渡担保権者が第三者と担保物件の売買契約を結んだ直後、いまだ登記を完了しない間に、債務者が弁済の提供をしたときにも、債権者はこれを受領し、担保物件を債務者に返還する義務を負うことになり、買主又は債務者のいずれに対して所有権移転登記をしても、他方に対して債務不履行の責任を免れないことになり、適法に譲渡担保権の実行に着手した債権者より、履行遅滞にあつた債務者が優遇される、結果になり、その不当なことは多言を要しない。当裁判所は譲渡担保権者が換価処分の実行に着手するも、第三者と売買契約を締結するまでは、債務者において債務を弁済して、担保物件を取り戻すことができるが、譲渡担保権者たる債権者が第三者と売買契約を締結したときは、債務者はこれにより債務を弁済して担保物件を取り戻す権利を失うものと解する(最高裁判所昭和四三年三月七日第一小法廷判決、民集二二巻三号五〇九頁は、債務者は債権者が換算処分するまでは、債務を弁済して担保物件を取り戻すことができる旨判示し、換算処分のどの段階まで取り戻すことができるか、について明示していないが、当裁判所の右見解とてい触するものではない。)

(小川 岡松 小林信)

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